DSC02569.JPG古書店「氷川書房」と4匹のねこの日々

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氷川書房:この図録が面白い!


2010年10月24日

幕末ミスマッチの魅力

IMG.jpg「浮世絵 幕末・明治維新展」という図録にはさまっていた絵はがき。

ちょっと浅野忠信風のこの幕末武士、洋服にはかま−というのが良い。
解説には土方歳三だとあるが、だいぶイメージが違う。

戊辰戦争でよく見られるこういう洋服、幕府のフランス式歩兵などは輸入品を着ていたらしいが、一般の藩では、武家の妻女が見よう見まねで手作りしたものが多いそうだ。
考えてみるとけっこうスゴイ話。

2010年10月25日

中央市

神田小川町の東京古書会館へ。

ここでは古書組合員のための古書市場が月曜から金曜まで毎日開催されている。
組合員なら誰でも本を出品することができ、入札方式で競り落とすことができる。
運営も組合員が行っている。

月曜日は「中央市会(ちゅうおういちかい)」。
参加者も出品もいちばん多く、いろいろなジャンルの本を見たり買ったりできる。

27日からは毎年恒例の「神田古本まつり」。
たぶん日本最大かつ最も知られた古本催事。
古本屋はふつう「あおてん(青空展の略)」と呼ぶ。

今日は「あおてん」で売る本を仕入れる最後のチャンス−ということもあり、人が多い。
人が多いのは予想できることなので、それをあてこんだ出品も多く、賑やかな雰囲気だった。

当店はといえば、先週末の「本の散歩展」で今年の展覧会は終了。
なので、あまり仕入意欲が湧かず。

落札は1点のみ。
雰囲気を楽しんで、知り合いに挨拶したり−で帰ってきた。

2010年10月26日

きんぽいち

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近衛歩兵第一聯隊。
明治維新時の「御親兵」を基礎とする、日本陸軍の精鋭部隊。
その戦友会の会報のタイトル「全国近歩一会報」。

先日、見ず知らずの人から突然電話があり、
「近歩一って、どう読むの?」という。
読み方を知りたくて、あちこち調べたがわからず、インターネットで検索したら当店の販売目録がヒットしたそうだ。
そんなことボクに聞いたってわかるはずないのは明らかだと思うのだが。

ときどき、ボクに聞いてもわかりっこないことを突然に電話で聞いてくるヤカラがいる。
こうしたヤカラは
・老人の声
・名前を名乗らない
・横柄な口調
という共通点がある。
見ず知らずの他人の生活に突然闖入して、ものを尋ねるのだから名前くらい名乗ったらどうかと思うのだが、「業者」に礼儀を尽くす必要などないと思っているのだろう。
まあ、あちこち尋ねても解決せず、藁にもすがる思いで電話してくるのだと思うことにしている。

たしかに、敗戦から65年、長い歴史からみれば「ついこの間」なのだが、旧日本軍をめぐる些細な事実で、わからなくなってしまったことがたくさんあるのかもしれない。

そういえば、もう25年以上も前の話だが、「米欧回覧実記」の研究で有名な田中彰先生が、学生だったボクらに
「もしキミらのなかで(日本近代史の)研究者をめざす人がいたら、軍隊か華族を研究テーマにするといいよ」と仰っていた。
軍隊と華族−ともに戦前は強い存在感を発揮しながら、戦後日本社会から抹殺され、しかも、戦争と特権階級は「イケナイこと」としてタブー視されてきた。
だから研究している学者も(当時は)少なく、新進研究者が入り込む余地がいっぱいある、というのが田中先生のお話のココロだ。

ところで、歩兵第一聯隊は通称「歩一」。これは「ほいち」で間違いないだろう。
「近歩一」は「きんぽいち」じゃないかと思うのだが、どんなものか?

2010年10月27日

資料会

東京古書会館へ。

水曜日は「資料会」。
文字通り社会科学・人文科学の原資料や学術書が専門の古書市場。
月曜日の「中央市」よりは人も出品量も少ない。
当店お得意の図録や調査報告書は、ここで仕入れてくる。

そしてきょうは「あおてん」の初日。
少々寒いけれども晴天に恵まれ、参加者のみなさん、よかったですね!
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「あおてん」で忙しい古本屋が多いので、市場は閑散としているのではないか、もしかしたら安く落札できるのではないか、と秘かに期待したが、業者の数はいつも通りだった。

当店はあいかわらず、めちゃめちゃはやい冬休み気分で、意欲が湧かず。
落札1点のみ。

2010年10月28日

刑事コロンボを見たい!!

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ちょうと1年ほど前から、毎週木曜日・夜9:00からNHK-BSアナログで、「刑事コロンボ」全作品を放映している(BSデジタルは別メニュー)。
9月にはNBC制作の旧シリーズが終了し、今月からはABCで放映された新シリーズが始まった。

コロンボは、70年代、子どもの頃に見て以来、大好きで、毎週たのしみにしている。

ところが、ところがである。
早寝早起きのボクは、外で人と会っているときは別として、自宅でリラックスしている状態だと、10時を過ぎるとウトウトし始める。起きていられないのだ。

9時スタートのコロンボは10時10分あたりから、いよいよ佳境に入る。
犯人を追い詰めていくコロンボの真骨頂。

どうしても、そこが見られない。
今日こそは最後までバッチリ楽しむぞ−と気合いを入れるのだが、ハッと目が覚めると、一番最後の場面で、コロンボが犯人を連行している。

いままで最後までキッチリ見られたのは「歌声の消えた海」「別れのワイン」「秒読みの殺人」くらいではなかろうか。

悲しい。

今日こそは最後まで見るぞ。

2010年10月29日

老眼鏡

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男46歳。
とうとう老眼鏡だ。

目は良い方だった。高校までの視力検査では常に1.5。
ところが、ある日突然、近くの字も遠くの字もぼやけて読みづらいことに気が付いた。
1-2年前のことだ。

同じ歳で近眼の古本屋Tくんは
「老眼はまだ早いだろー」と言うが、見えないのだから仕方がない。

検査の結果近くが見えないのは老眼、遠くが見えないのは乱視の悪化だった。
本屋でなかったら不自由ないレベルかも知れないが・・・

生まれて初めてメガネをかける。
あまりによく見えるのでおどろく。
どういうわけか視界が明るく見える。
いままで見ていた世界は何だったのか。

メガネをかけて鏡を見る。
「あっ、おとうさんだ!」
父の顔かと思った。

しこう

きょうは、10/26の「きんぽいち」の続き。

旧制の第四高等学校。通称「四高」。
現在の金沢大学の前身。

ちょうど2年前、当時、組合の役員をしており、出張で金沢を訪れた。
車窓から旧四高の校舎がちらっと見えた。
時間がなくて寄ることはできなかったが、レンガ造りの美しい建物が印象的だった。
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第四高等学校の歴史「四高史」という本を古書目録に載せた。
注文の電話。
「目録番号○○番を頼むよ。」
「○○番は・・・ ”しこうし”ですね」
「”しこうし”? ”よんこうし”だよ!」
このひとは、古本屋の無知を正してあげようという親切心から言ったのだろうが、「生兵法は怪我のもと」とはこのこと。

まあ、「よんこう」でもよいのだろうが、「しこう」という発音には自信がある。
だいぶ前であるが、四高出身の井上靖が何かのテレビ番組で「だいしこうとうがっこう」「しこう」と発音していたのを覚えているからだ。

そういえば、旧制高校も軍隊や華族とよく似ている。
ともに戦後日本社会から抹殺され、しかもエリート教育は「イケナイこと」として(軍隊ほどではないが)タブー視されてきた。
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