「旧事諮問録」岩波文庫版ブログを始めて2年弱。はじめて「本」の話題です。
当初は「本の紹介と古本屋の生活」てな感じのブログにしようと思っていたのに、
いつのまにかアホっぽいネコブログになってしまって・・・
まっ、それはさておき。
きのうの「日本経済新聞」の「春秋」欄(天声人語みたいなヤツね)に、
「昭和時代の学生って、どんな生活していたんですか?」と若い人に聞かれ、
「明治時代みたいに言うなよ」と苦笑するエピソードが載っている。
昭和最後の(4年制大)学生であるボクとしては、ちょっぴりショック・・・
でも、そのボクが47歳(あと10日ほどで48歳だけど・・・)だもんな・・・
無理もないか。
平成も24年。
ボクが大学卒業の年から24年前は昭和39年、東京オリンピックの年。
まだまだ「三丁目のナントカ」的雰囲気が色濃かっただろう。
昭和63年のボクが、東京オリンピックの年などセピア色の写真程度にしか思っていなかったのと同じように、今の若い人は「昭和時代」を実感できないのだろうな。
青蛙堂版それで思い出したのが「旧事諮問録」。
江戸幕府は実際にはどのように運用されていたのか。
時とともに忘れられてしまうのを心配した明治の歴史学者たちが、
往時の幕府実務担当者たちを迎えて質疑応答を行う。その速記録だ。
その質疑応答がいつ行われたのか、気になって、この本を引っ張り出してみた。
明治24年1月31日から明治25年4月16日 !!
今と同じだ!!
ボクらが平成24年から昭和を見るのと同じ視点なのだ!!
もちろん、質問者たちも江戸時代を知らないわけではない。
彼らは諸藩(やはり薩摩が多い)の出身で、幕府の実際を知らないから質問しているのだけれど・・・
でも、25年くらいたつと、時代の雰囲気、細かい事実はわからなくなっちゃうのね・・・
本の内容については、「時代小説家のネタ本」なんて言われて有名だから、クドクド書かない。
勘定奉行、江戸町奉行から、町方同心や御庭番まで、いろんな役職の経験者が登場して、ホント面白いですよ!
ボクの印象に残っているのは、大奥女中のところ。
みなさん、将軍や将軍夫人は、自分のことを何と呼んでいたと思います?
「よ」? 「わらわ」?
ハズレ。
将軍さまは自分のことを「こちら」か「自分」と呼んでいた。
御台所さまは「わたくし」と言った。
「自分」って・・・ 今だと高倉健さんっぽいか、体育会っぽいですよね。
そういえば
古本屋のI書店さんは、自分のことを「こっち」と言う。
「こっちが資料の経営員やってた頃はさぁ〜」てな感じで。
古書組合職員のM氏は「自分は」「自分は」と言う。
「あっ、それは自分が落としたボールペンです」みたいに。
なんと! お二人とも由緒正しいのだ!