この時点で、近隣の貼り紙を見て連絡を下さった方が1人。
お話しをうかがうと、明らかにメイちゃんとは別のネコのようだった。
他に何の手掛かりもなく、ときどき夜にマンションの周囲を探すものの、自分への言い訳のために”探すフリ”をしているだけで、心のなかではもうとっくにあきらめている。
そんな時に聞いたのが「猫返し神社」の話。
ジャズピアニストの山下洋輔氏が、行方不明になった飼い猫の無事帰宅をこの神社に祈願したところ、その翌日に17日ぶりに帰ってきた、というのだ。
そういえば。
こんな本を見たことがある。

エッセイストでもある山下氏はネコ好き。
ネコ絡みのエッセイを編集した本だったと記憶している。
それで調べてみると、山下氏は後日、別の飼い猫がいなくなった時もここに祈願したら帰ってきたらしい。
お礼に"奉納演奏"までしているそうだ。
よーーっし!!
ダメでもともとだ。いってみよーーっ!
JR立川駅からバスに乗り継ぐ。
車窓にIKEAを見ながら揺られること約15分。
着きました「猫返し神社」こと「阿豆佐味天神社」

建物は立川市最古の神社建築だそうで、とても良い雰囲気。
で、「猫返し神社」はこの社ではなく、境内に別に祀られている「蚕影神社」の通称だということがわかった。
かつて多摩には養蚕農家がたくさんあった。
幕末から明治には多摩の絹糸が横浜から輸出されて日本を近代化する外貨を稼いでくれた。
繭玉をネズミが囓る。なのでネコは養蚕農家の守り神だったそうだ。
こちらが蚕影神社。上の本殿のすぐ隣だ。

こんなかわいい「こまねこ」が・・・

社務所でこんな絵馬を売っていて
なんか、帰ってくる、というより風呂敷包みを背負ってどっか行きそうな雰囲気ですが・・・・
まっ細かいことはともかく、こんな風に願いを書き入れました
これを奉納してきました。
ボクと同じような絵馬がたくさん奉納されていて、行方不明になったネコを案じている人がいっぱいいるんだなぁ〜と。ちょっと胸が熱くなりましたよ。
社務所ではこんなかわいらしいお守りも売っていたので買ってきました。
これで大丈夫!
ってのは、やっぱり「自分への言い訳」で、心の内では、まさか神頼みが通じるわけないよな、と思っている。
案の定、それから10日たっても20日たっても何の手掛かりも得られなかった。
「やっぱりね。そんなうまい話があるわけないよ」
ところがどっこい
ネコの神さまはいたのだっ!
うまい話はあったのだっ!
(つづく)