カンクロウが当店に流れ着いたのは、ちょうど2年前、2008年12月28日だった。
今では、ニャーニャーと鳴きながら走り回って、我が家のネコ軍団のムードメーカーとなっているカンクロウだが、あの時は、とてもかわいそうな状況だった。
それについては、ちょっと不思議なおはなしがある。
カンクロウが来る3ヶ月ほど前だったろうか。
ある早朝、ウォーキング中。
道路の真ん中、センターライン近くに何か落ちている。
通る車が蛇行して、その「モノ」を避けている。
ねこの死体だった。
近寄ってみると、まだ生後3-4ヶ月の子ねこ。
ロシアンブルーあたりの血が入っているのか、銀色の毛並みで、抱き上げるとまだ温もりが残っていた。
口から血を流していたけれど、目立った外傷もなく、きれいな状態だった。
路肩に寄せておけば清掃局が片付けるのだろうけれど、それもなんだか不憫で、どこか静かなところに埋めてやろうと思った。
堤防の脇に大きな大きな欅の木がある。
いったん帰宅してシャベルを取り、その木の根元に埋めた。
かわいそうに。短い一生だったね。静かに眠るんだよ。
次はどこか暖かい家庭の飼い猫として生まれておいで。
そして、そのことはすっかり忘れてしまった。
その年も押し迫った12月28日。
前の晩から冷え込んで、とても寒い朝だった。
いつも通り早朝のウォーキング中、ふと、あの子ねこのことを思い出した。
欅の木は、普段通る場所ではなく、あの日以来行っていない。
「子ねこの墓参りでもしようかな」
突然そう思った。
−続く−